歴史的仮名遣い

 冬菊のまとふはおのがひかりのみ  秋櫻子
この句の「まとふ」は「纏う」です。歴史的には「纏ふ」と書きます。さらに表記の工夫として冬菊以外の文字を「ひらがな」にしています。俳句を読むときに柔らかな感じがあります。最初は難しいのですが、辞書を調べて勉強していきましょう。

仮名遣いチェック

かんたんにまとめました。ウ音便にもご注意下さい。

ゐる「いる」

男来て鍵開けてゐる雛の店     鷹夫

ゐて「いて」

生死のそと側にゐて紅葉狩     鷹夫

をり「おり」

しらじらと花見の刻が過ぎてをり  鷹夫

こゑ「こえ」

日向から日陰へ鳰のこゑ寒し    鷹夫

文法用語

名詞「体言」→(桜)(仕事)事物や概念

動詞「用言」→「言ふ」のように動作を表す 
        uの音になる
形容詞→「悲し」性質や状態 i音
形容動詞→「静かなり」性質や状態を示す。
     「なり」「たり」で言い切り。
助詞  →いわゆる「て、に、を、は」 
     単語のあとにつく
助動詞→「けり」など。動詞や他の助動詞の
     あとにつく

動詞の音便

四段、ナ変、ラ変の動詞が「て」や「たり」などに続くとき4種類の発音がしやすくなるように変化を生じることがあります。

イ音便

咲きて→咲いて。「咲ひて」「咲ゐて」は誤り
掃きて→掃いて。

ウ音便

白魚を食うてのりたる秤かな  勤
 食ひて→食うて 「食ふて」は誤り
 思ひて→思うて 「思ふて」は誤り 
 「ふて」と書く誤りが多いので注意。 
 ✳︎旧仮名を意識して「食ふて」と書く人がい 
  ます。終止形の場合は「食ふ」で正解です。

撥音便

飛びて→飛んで  撥音とは「ん」
踏みて→踏んで

促音便

立ちて→立つて。
     現代表記の「っ」と書かない。
切りて→切つて。

切字の用法

かな→詠嘆、感動 
   体言や活用語の連体形に接続する
   軽い感動
用法
◎囀の水に映れる湖北かな  鷹夫
  かなを含む五音の上は連体形が基本。

けり→詠嘆
   用言、助動詞の連用形に接続する
◇顔見世や風の四条となりにけり
◎顔見世の風の四条となりにけり 鷹夫 
  「や」と「けり」は併用しない。

や→   詠嘆、一句を区切る語。名詞につくこと
   が多いが、「桃咲くや」のように咲くと
   いう状態に詠嘆することもある。
用法
◎梅雨空や鳰くぐりてもくぐりても 鷹夫
  「や」で切ったら、続けて語句の説明をし
   ないこと。

◎「や」と「かな」「けり」は強い表現のため併用はさける。
◎17音しかない俳句では、切字を使わない場合でも切れを意識する。

俳句に使われる言葉

とふ 「といふ」の変化
てふ 「といふ」の変化 チョウと発音
先師てふことば始めの夜涼かな 登四郎

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